沖縄の郷 土料理に、強い塩味と独特の旨味をもつ珍味「スクガラス」があります。酒の肴として親しまれ、島豆腐の上に少量をのせて味わうのが定番です。
スクガラスは、アイゴの稚魚を塩漬けにした保存食で、沖縄の方言で稚魚を「スク」、塩漬けを「カラス」と呼ぶことから名付けられました。
スクは沖縄近海でよく見られる魚ですが、スク漁ができるのは年にわずか数回です。旧暦の六月から七月、新月の頃になると稚魚の群れが姿を現わし、この時を逃すまいと漁師たちは一気呵成に追い込み漁を行ないます。
スクは生後三日目から餌となる藻を食べ始め、藻を食べると独特の臭いがついてしまいます。そのため食用に適しているのは、生後二日以内のものだけです。
この限られた時期にしか行なえないスク漁は、「海のボーナス」あるいは「夏のボーナス」とも呼ばれ、沖縄の年中行事の一つとして受け継がれてきました。
自然のわずかな瞬間を見極め、最良の価値を得たスクガラスには、時機を逃さず向き合うことの大切さが、味わいとして刻まれているのかもしれません。
今日の心がけ◆時を逃さず動きましょう

